学校では教えてくれない!! ゲームサウンドの設計次第で10人月分以上のクオリティが上がる(かもしれない)話


4/17 追記:サウンドの設計について、全5回の連載となりました。他記事へのリンクは最後にあります。よろしくお願いいたします。

憧れのゲーム業界に入ったばかりの新社会人のみなさーん!

新人じゃないけどプランナーやディレクターのみなさーん!

ご自分が担当するゲームのサウンド演出を、必要以上にお金を掛けずにぐっと良くしたいと思いませんか?
そのためには

ゲームのサウンドを設計する際に「3つだけ」知っておいてほしいポイントがあります!

これを実践するだけで同じ予算なのにクオリティがめちゃくちゃ上がります。断言します。

あまり意識した事が無いという方もいらっしゃるかもしれませんが、ゲームのサウンドって楽曲とかSEを作るだけ・・・ではありません。

最初にサウンド周りの設計をします。具体的には
・データの持ち方
・ファイルの命名規則
・メモリの使用量、データサイズの上限
とかを決める必要があります。

で!

設計は最初が肝心です。超大事です。

もし開発の後半になってから組み立て直すような事があったら…どのくらい大変でしょうか。正直なところ、イメージしづらいと思います。

でもこの記事を読み終わる頃にはきっと、ある程度イメージできるようになるでしょう。とにかく大変だというのを、肝に銘じて設計をしましょう。


でもどうやって?

自分の経験(サウンドデザイナー歴10年以上)を振り返っても、どこで学ぶというのは無かった気がします。現場で試行錯誤し、先人達のダメな例をたくさん見ながら、自分もダメな例を作りながら徐々に精度を上げてきました。

そして出した答えが以下の3つ!!

1:経験者を頼ろう!

企画のなるべく早い段階からサウンド設計をできる人を入れるべきでしょう。
方向性が迷子になりにくいだけでなく、サウンド演出面からのアプローチも期待できます。

え? 身近に頼れる人がいない?
ここにいるよ! 
https://twitter.com/CRI_kawaguchi

TwitterのDMとかでいいので気軽に相談してくれよな!

2:神Excel ダメ、絶対


表作成は良いんです。無いと数千とかファイルを扱うの無理です。
一番やっちゃいけないのは、検索性を落とす セルの結合 でしょう。

Excelの便利な機能として、フィルタとソートがあります。

数百、数千、数万といったリストをひたすら縦スクロールしながらチェックしていくのはナンセンスです。正しく登録した部分を色を変えたり非表示にする事で、残作業量が把握しやすくなり、ヒューマンエラーも減り、モチベも上がり、諸々の確認作業が素早くこなせる事により、音量のバランスやタイミング調整という、とても大事なのに満足に調整できないままリリースされがちな作業に時間を割く事ができます。


検索性が良いことのメリット、影響範囲

恐らくみなさんの想像以上にとても大きくて、プランナー、ディレクター、エンジニア、サウンド担当、デバッグ担当者もみんなサウンドリストを見るはずです。

例えばゲーム中、どこかの音がおかしいぞ?となった時に、このシーンで使われるこの音は正しいのか、リストを確認し音を鳴らしゲーム内の音と比較をする。という作業が30秒で済むのか、5分掛かってしまうのか

仮に1つの確認に3分余計に掛かるとしましょう。担当者はさっき挙げた5人で考えましょう。扱う音の数が10000あったとすると・・・。

3分 x 10000 x 5人
= 150000分
= 2500時間

1ヶ月の勤務時間を168時間とすると、14.8人月分の時間が余計に掛かる計算になりました。

ちょっと極端ではありますが、これくらいの雑務が余計に発生する可能性があるというのを肝に銘じておくとよいのではないかと思います。

なんでこんな事を書くかというと、実際に僕は管理の悪い30000くらいのファイルを扱った事があり、各種データの捜索に200時間くらい余計に使ったからです。他の人もきっと苦労しただろうし、もっと作り込めたでしょう。この教訓は活かさなければ。

3:命名規則 is 超大事

BGM01.wav
BGM02.wav
Attack01.wav
Attack02.wav
Attack03.wav

といったファイル名では、どのような音のデータなのか判断ができません。ファイル名はちょっとくらい長くても内容がわかりやすく、かつ見やすい名前をつけましょう。

BGM_Battle01.wav
SE_Attack_Sword01.wav

のようなファイル名であれば、どこで使われる楽曲なのか、どんな武器の攻撃音なのかというのが聞かなくてもわかります。

また、連番管理が便利なところもあって、特に大量にあるシナリオ用音声とかはオススメです。ただ、検索性は落とさないように注意しましょう。誰の声なのか、どういったシーンで使われるのかが明確な方が良いケースが多いと思います。

ダメな例やボイス収録やら管理に関してはまたコツがありますが別の機会に。

まとめ

制作中に必ず発生する確認作業をいかに効率よくするかによって、中身を作りこむ時間を増やす=必要以上にお金を掛けずにクオリティを上げる、という話でした。

多少極端な数字を出しましたが、これくらいの実感を持って設計をする事でプロジェクト全体の効率がかーなーり改善されるはずです。

やらない理由は無いでしょう。Just do it!
そんじゃまた!


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kawaguchi

Sound / Haptic / UX Designer @ CRI Middleware. / 音響周り全般と触覚、UXを担当。VRの立体音響も。 ゲーム制作現場の要望をミドルウェア開発チームに届けて、より素敵なコンテンツが生まれやすい未来を作るのが仕事です。

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