手触り感にこだわった爽快アクションゲームの音の作り方とは?CRI ADX LE ユーザーインタビュー Vol.11『蒐命のラスティル – とこしえの迷宮城 – 』
ローグライク3Dアクションゲーム『蒐命のラスティル – とこしえの迷宮城 – 』の開発者「よっしー」氏に制作背景を直接伺いました。
『蒐命のラスティル – とこしえの迷宮城 – 』の様々な音の演出には CRI ADX LE が使用されており、
Steamにて正式リリースされています。
本稿を読み進める前に、ぜひ一度『蒐命のラスティル – とこしえの迷宮城 – 』をプレイしてみてください。

インタビュイー: よっしー(@ys_game_jp)
インタビュアー: CRI・ミドルウェア
編集: CRI・ミドルウェア
1. 『蒐命のラスティル -とこしえの迷宮城-』の制作にあたって
CRI・ミドルウェア:
今日はよろしくお願いします。
まず、自己紹介をお願いします。
よっしー:
よっしー(@ys_game_jp)といいます。神戸電子専門学校の教員をやっています。
ゲームソフト分野というプログラミングメインの学科で、現在は4年生の授業を受け持っています。Unityの技術の座学をメインとしつつ、ゲームをリリースするにあたっての実際の業務についても教えていたり、商業ゲーム開発プロジェクトも主導しています。
生徒たちでチームを組んでもらって、1年間かけて開発したゲームをSteamでリリースしてもらうという取り組みを行っています。
また、「iGi(※)」メンバーのメンター業務も行っています。
インディーゲームインキュベーター第二期に所属していたので、そういった経験を活かして支援できればと思っています。
他は、KIC Gamesでインディーゲーム開発に注力していて、パブリッシング業務も行っています。
主に神戸電子専門学校の卒業生の作品をメインに出展補助やPR、翻訳などをお手伝いしています。
「神戸ゲームラビリンス」という神戸初のインディーゲームイベントの主催も行っていますね。

※ iGi :日本在住のインディークリエイターの為の無償インキュベーションプログラム
CRI・ミドルウェア:
ゲーム開発以外にも、様々な顔をお持ちなのですね!
では、『蒐命のラスティル – とこしえの迷宮城 – 』の紹介もお願いします。
よっしー:
記憶をなくした主人公ラスティルが謎に満ちた迷宮城でお宝を集め、モンスターを捕まえて育成して、強敵と戦い、迷宮城の謎に迫っていくモンスター育成ローグライク爽快アクションゲームになります。手触り感を非常に重視して開発いたしました。

CRI・ミドルウェア:
制作人数と制作期間も教えていただけますでしょうか。
よっしー:
制作は基本的には1人で行いました。
プログラムの一部や3Dモデル、デザインの一部は外注したが、基本的にはディレクションからプログラム、モデリングやモーション、ストーリーまですべて1人で制作したので、結構時間がかかりました。
具体的には、早期アクセス版リリースまでに2~3年かかっています。
完成までには更に時間がかかると思い、まずはストーリー無しアクションメインの早期アクセス版をリリースしました。
その後ユーザーからのフィードバックを受けて改善しつつ3Dモデルやグラフィックもパワーアップ、ストーリーを追加して2年越しで完成させ、なんとか正式版リリースにいたりました。
とはいえまだまだ100%やりきれたわけではないので、この後もちょこちょこバージョンアップ予定です!
CRI・ミドルウェア:
特にこだわったポイントはどこでしょうか?
よっしー:
アクションの手触り感にこだわりました。
操作していてマンネリにならない、ボタンを連打しているだけでも楽しくプレイできるような手触りを目指していました。
一方で、そういったゲームは世の中にたくさんありますので、本作品では日本のゲームらしく、かわいいアニメ調のキャラクターを組み合わせて、「本格的ローグライクアクション」×「かわいい美少女キャラクター」という国内では少なそうなジャンルを攻めていきました。
ユーザー様からは「かわいいキャラクターだからカジュアル系のゲームだと思ったら予想以上に難しかった!」という声も頂きました。

2. CRI ADX LE 導入や利用した機能
CRI・ミドルウェア:
次に、今作の開発について聞かせてください。
CRI ADX LEを導入したきっかけは何でしょうか?
よっしー:
開発当初、サウンドについては Unityの標準オーディオを使っていました。
開発を進める中で、マーベラスさんが主催している「iGi」の第二期に参加して、様々なゲーム関連の方からセッションやアドバイスを頂ける機会がありました。そこでCRI・ミドルウェアさんのセッションを聞いて、「CRI ADX」を知りました。
CRI ADXのことはなんとなくサウンドのツールという認識はあって、遊んだゲームでロゴは見たことあるな、という程度でした。きっと規模の大きいゲーム開発向けなのだろうという印象を持っていて、自分のような小規模開発には縁がないかなとも思っていました。それに加え、プロ向けの製品という認識だったので、契約周りの手間や金銭的な面で難しいかもとそもそも選択肢になかった状態でした。
ですが、CRI・ミドルウェアさんのセッションを聞いてみると、想像以上に導入のハードルが低く、CRI ADX LEであれば無償で使える(※)ということで、じゃあ使ってみよう!と思い導入しました。
※ 「CRI ADX LE」を使用したコンテンツ配信の条件は以下をご確認ください。CRI ADX LE – CRIWARE for Games
CRI・ミドルウェア:
CRI ADX LEは主にどのような用途で使いましたか。
よっしー:
Unity標準オーディオでも音声は再生できていたのですが、「攻撃のヒット音の重なり」が気になっていました。
たくさんの敵に攻撃したときのヒット音をきちんと制御しないといけないなと思いつつ、対処を後回しにしていました。
そのタイミングでCRI ADX LEを導入してみたところ、「キューリミット」で楽に制御できる!と感じました。効果音が重なりすぎる部分や、聞きづらくなるところを簡単に実装できるところがいいなと思いました。

CRI・ミドルウェア:
そう言っていただけて嬉しいです。
では、特に印象に残った機能や、「これは便利だった」と感じた機能を教えてください。
よっしー:
CRI Atom Craftという専用のツールがあることで、一元的にサウンドが管理できるところがとても良かったです。開発が進むにつれてサウンドが増えてきた時にも、見やすくて便利でした。
あとは、「キュー」というシステムがやはりとても便利だと思います。
例えば複数のサウンドをつなげたいなとか、ランダムにつなげたいなとか、そういった演出を考えた時に、キューをいじるだけでフレキシブルな対応が可能になるところがかなり便利でした。さっと複数の音を置いてみて簡単に試せたり、足音などもスイッチという機能を使って切り替えるだけで足音が変わったりと、とても楽に作成できました。

先ほどの「ヒット音の重なり」にもつながりますが、コンプレッサーなどのエフェクトが使用できることも非常に助かりました。簡単にポチポチするだけで実装できるため、時間短縮につながっていって、ゲーム自体の実装により多く時間を使えるようになりました。こういうところで効率化できるのはとても嬉しいです。
大量の音が同時に鳴るゲームでしたので、総じて簡単に制御できるということがありがたかったです。
CRI・ミドルウェア:
CRI ADX LEを使ったことで、表現の幅が広がった点や実装が楽になった点はありましたか?
よっしー:
実装が楽になった部分でいうと、キャラクターのボイスに一部エコーをかけている(例:主人公ラスティルが武器スキルを出す際など)のですが、CRI ADX LEの導入前までは、音声編集ソフトでエコーをかけたものを別ファイルで用意して使っていました。CRI ADX LEの導入後では、CRI Atom Craft上のバスの設定でエコーも追加できたので、別のファイルを用意しなくてよくなり、そういった表現が簡単に作れるのも良かったです。
音声編集ソフトを立ちあげて、エコーをかけて、ファイルを作って…という手間が省けたことが精神的にもとても楽でした。小規模チームでもあるので、サウンド専用の人員がいないからこそ、いろんなソフトを立ちあげなくてよいのは助かりました。
CRI・ミドルウェア:
ありがとうございます!
逆に、使ってみてつまずいた点や、改善してほしい点はありましたか?
よっしー:
様々な便利な点がある一方で、CRI Atom Craftについてはプロ仕様という感じで、初心者の方が導入するにはまだまだハードルを感じやすいかなと思いました。
使いやすくするアイデアとしましては、例えばCRI Atom Craftで編集した音を書き出した時、Unityにダイレクトにインポートできる、「CRI Atom Craft側でビルドを押した瞬間にUnity側に適用できる」という気軽な機能がデフォルトで用意されていると、モチベーションが維持しやすいかもしれません。
あとは、CRI Atom Craftのバージョンを途中であげたときに旧プロジェクトを開くと警告がでると思うのですが、自分がきちんと内容を読んでいなくて、保存できていなかったことがありました。
終了しようとした時に、再度警告がでると嬉しいなと思いました。
3. これから使う人へのメッセージ
CRI・ミドルウェア:
これから使ってみようか迷っている人に、ひとことアドバイスをお願いします!
よっしー:
サウンドを再生するためにとても便利で高機能です。なのに、特別な契約も必要なく無償で使える、という導入ハードルの低さが特に素晴らしい部分です。
CRI Atom Craftなど、習熟するのに少し時間はかかりますが、まずは一旦試しに導入してゲームエンジンで音を鳴らしてみたり、ループ設定、キューシートの管理など基本的な操作を試してみたりして、その便利さを実感してほしいです。
開発中、どうしてもサウンドは後回しになりがちだと思いますが、最初からCRI ADX LEを入れていた方が、後々の手間もないし無駄にならないです。
今は実装していなかったとしても、インタラクティブなサウンド演出をしたいな!と思ったらすぐに着手できるのもいいなと思います。そういった期待や可能性でもCRI ADX LEに色々と助けられています!
4. 終わりに
CRI・ミドルウェア:
今後、予定している活動や現在開発中のものはありますか?
よっしー:
『蒐命のラスティル – とこしえの迷宮城 – 』が正式リリースされました。
TGS 2026にも出展予定で、今はそこに向けて大型アップデートを計画中です。
新しい衣装や防具、新たなゲーム要素を追加して既存ユーザー様、新規ユーザー様にも楽しんでいただけるものをお届けしたいです。
TGS後もアップデートを続けて、DLCで高品質な衣装など、いろんなコンテンツを配信したいとも思っています。今後1年くらいは頻繁に更新して、そのあとはコンシューマー移植も考えていきたいと思っています。
また、ゲームとは別のお話ですが『神戸ゲームラビリンス』という展示会を今年も実施します。
毎年開催しているのですが、今年は神戸電子専門学校の文化祭と同時開催予定です。
2026年11月21日(土)、近場の方は遊びに来てください!

以上、『蒐命のラスティル – とこしえの迷宮城 – 』のインタビューでした。
よっしーさん、あらためてありがとうございました。
本記事内で使用した商標に関する権利表記
「Unity」は、Unity Technologiesおよびその関係会社の商標です。
