ノン・サウンドデザイナーでもできる! 仕様変更に強いゲームサウンド設計の手引き(効果音編)
サウンド設計の話も4回目になりました!
ネコ画像を使うと読者が増えるって噂を聞きました。にゃーん。
よろしくお願いしますにゃーん。
今回はプランナーさんなど、サウンド関係の作業の未経験者でも割と正確で柔軟な設計ができるようになるための実践編です。
例として2Dの横スクロールアクションゲームを想定して一緒に考えてみましょう。
例題
プレイヤーキャラクターは以下の6種類のアクションをします。効果音が幾つくらい必要になるか考えてみましょう。
・歩く
・走る
・ジャンプ
・着地
・攻撃
・被ダメージ
「歩く音」「走る音」「着地」
このあたり、音を鳴らさないゲームも結構あります。デフォルメした音の場合もあります。
絵のタッチや世界観などによって、どの程度作り込むかかなり影響を受ける部分です。
せっかくなので音をつけたいところですが、足音だけでコラムが5本くらい書けそうなくらい素材の総数が跳ね上がる可能性が高い場所です。
必要になる素材数の目安としては
靴の種類 x 床の素材 x (歩く音(単音x3〜5種くらい) + 走る音(単音x3〜5種くらい) + 着地音(単音x2種くらい))
例えば靴3種(スニーカー、下駄、革靴)、床6種(土、草、木材、コンクリ、鉄、水辺)、歩く4種、走る4種、着地2種類とすると
3 x 6 x (4 + 4 + 2) = 180ファイル になりました。
これを状況に合わせて鳴らし分ける必要があります。さらにバリエーションが増えても管理ができるよう、想定して設計しましょう。ファイル名にも靴、床、状態(walk,run,landing)などの要素を入れると良いでしょう。
『FFXIV』グリー主催の勉強会“GREE Creators’ Meetup”にサウンドディレクター祖堅正慶氏が登壇。“サウンドワークスまで見据えたゲーム制作”に必要不可欠なモノとは? / ファミ通.com
「ジャンプ」
ヒュンッ! って感じの風切り音だったり、ピョーーン って感じのデフォルメ音だったりしますが、操作次第でジャンプの高さが可変の場合は途中で音を止めたりするかもしれません。音が動きとシンクロしているととても手触りが良くなる演出なので、できれば鳴らしたいところ。
とりあえず音は1種類で、長さは可変ということにしておきます。
「攻撃」
本当はあまり良くないオーダーですが、あえて攻撃としか書きませんでした。めっちゃ増えるポイントです。
武器とかが複数あればそれだけで増えますし、モーションのバリエーションも増えるかもしれません。連撃で同じ音を鳴らすと飽きやすいのでニュアンス違いの音も欲しいです。音程がランダムで変わるとかでも良いです。コンボが増えると音階を奏でるなんて演出もあったりしますね!楽しい。
武器を振り回す風切り音とかは「プレイヤー側の音とセット」で考えて、攻撃対象の素材(ケモノ系とかロボット系とかで音が違う)ごとのヒット音は「対象の動きや声とかとセット」で考えると良い感じです。
「被ダメージ」
今回わざとプレイヤーが死ぬ要素を書かなかったので、ダメージ音とか1種類でも良いかもしれません。こだわりだすと斬撃やられとか燃えてるとか電気ビリビリとかどんどん増えますが、足音や攻撃音ほどじゃないでしょう。
で、幾つくらいあった?
とりあえずミニマムだとジャンプ、攻撃、被ダメで3つ。いろいろ鳴らそうと思うと200くらいですかね。
もちろんゲームの性質によって音の重要度は違うため、3つでも200でも正解であり得ると思っています。ただ、豊かな表現力に慣れると、人は物足りなさを感じるようになります。例えば地デジが始まった頃、そんな解像度いらねぇと思ってましたが、慣れてしまった今はDVD画質がとても荒く見えたりします。そういうものです。
個人的には音の演出もそうなっていって欲しいな、と。(そのためには電車の中、無音で遊ばずにイヤホン使って欲しいなとか。)
仕様変更は、あるんだよ。
変更そのものにネガティブなイメージを持たないで欲しいんですが…まぁ、冷静に考えてみてくださいよ。企画の序盤で全てのリソースが決まっているわけないじゃないですか。必要な音なんて当初の予定の数倍に膨れることもよくあると思っていれば良いんですよ。
それに対応するための記事ですよ?これ。
どーんと構えていきまっしょい。
ただしマスターアップ直前の変更、テメーはダメだ許されん
予兆キーワードに気付こう
仕様変更が起きそうなゲームの要素って、結構ポイントあると思います。
「キャラ追加」「変身」「着替え」といった要素はもちろんのこと、「属性攻撃」なんてキーワードもまぁ、大概バリエーションが増えます。
スマホ系だと珍しいかもしれませんが「装飾品」、「揺れもの」とかもポイント高いです。「エモティコン(顔文字)」とかもアニメーションがあればちゃんと音で演出したいところ(どうぶつの森がめっちゃ参考になる)です。画面遷移の仕方によってはそれぞれ違う音を鳴らしたい場合も多くあります。
他には派手な必殺技なんかをカットシーンで演出するとして動画を流すのか、リアルタイムに描画するのか。そこに着替えの要素があったりすると…結構大変です。
そんな感じで仕様変更対策まとめ
・キャラ(プレイヤーも敵も)が増えることを想定して、キャラ別の共通音、固有音がはっきりしていてかつ、命名規則がしっかりしていれば、共通部分を鳴らすプログラムやデータの持ち方を共通化できますね。
・バリエーションが増えそうなポイントを予測しよう。増えた場合は命名規則をしっかり決めて運用しよう。
・関連する音をまとめる際、どこに従属しているのか間違えないようにしよう。攻撃のヒット音は相手側。これ間違えやすい。
・仕様が変わると音の素材や鳴らすタイミングも変えることになるので他の部署とちゃんと連携しよう。
長くなりすぎた!
次回は曲とかジングルを含めたデータの持ち方の予定です。またね。
サウンド担当者以外(主にサウンド発注者)が知っておくと良い業務の効率化 【その1】
サウンド経験者が居ない場合の考え方 【その2】
設計や管理が便利なツール、ミドルウェアの紹介 【その3】
仕様変更で増えていく効果音の傾向と対策について 【その4】