ADX2 LEユーザーインタビュー Vol.4『朝はどこ』編

こんにちは、「CRI ADX2」サポーターの一條です。

CRI・ミドルウェアでは、同人・インディーゲームクリエイターや学生を対象として、無償版サウンドミドルウェア「ADX2 LE」を提供しています。なお、今月「ADX2 LE」は大型アップデートが行われ、さまざまな最新技術が搭載されています。同人・インディーゲーム開発者の皆様は、ぜひ触ってみてください。

無償版サウンドミドルウェア「CRI ADX2 LE」大型アップデート実施

本インタビューシリーズは、ADX2 / ADX2 LEの魅力を同人・インディーゲームクリエイターにもっと知ってほしい!という思いから、実際にADX2を開発に採用したクリエイターにインタビューを行うものです。(前回の『ANNO: Mutationem アノー:ミューテーショネム』編 はこちら

第四回は、サークルHorousamatoluneの『朝はどこ』をご紹介します。

――自己紹介と本作のご紹介をお願いします。

初めまして、ホロウさま🍣といいます。Horousamatoluneというサークルにて、『朝はどこ(海外名wanderdawn)』という不思議な世界をさまよう2Dアクションゲームを開発しております。水や自然の透明感やSF、異形の化け物が蔓延った世界が特徴です。

――ADX2を導入するきっかけはどのようなものでしたか?

きっかけは、インタラクティブ・ミュージックを実装したいと思ったことです。

私が初めてインタラクティブ・ミュージックを知ったのは、ニンテンドーDSの『ファンタシースターZERO』というゲームを触ったときでした。探索時のBGMのゆったり感や壮大さを表現していて、かつ戦闘時にはシームレスに勇ましいBGMに自然に切り替わる仕組みで、体験としてとてもすばらしかった記憶があります。

その後、何かの記事で『ファンタシースターZERO』が紹介されており、インタラクティブ・ミュージックについて知りました。そのころから、ずっと実装に挑戦したいと考えていましたが、『朝はどこ』を開発する中でADX2を見つけ、これならば自分でインタラクティブ・ミュージックが実装できると思い導入を決めました。

(ちなみに、「ファンタシースターZERO」を開発したチームは、その後「ファンタシースターオンライン2」でインタラクティブ・ミュージックをさらに進化させました。インタビューはコチラ。

――楽曲制作について

本作の楽曲は、デキストリンさんに担当いただいています。
楽曲については、まずループ楽曲のベースとなるものを作った後、アレンジ変化の方向を作っていきます。パターンとしては「敵がいないとき」「敵がいるとき」「ボス」の3つで遷移するようにしました。

ボスキャラが出てくる場面のループは、凄く低い帯域の音が鳴るようにしているそうで、その帯域を目立たせながら、元の曲に手を加えてアレンジを作っているそうです。

『朝はどこ』では、レイヤーの切り替えをセレクター機能を使って変えています。また、ビートシンクも併用して演出に反映させています。

――そのほか、活用している機能は何でしょうか

このゲームは「五感を大事にする」というコンセプトがあり、効果音にもこだわっています。たとえば、一部の弾等の効果音には、不思議な感じを出すためにランダムにピッチが変わるようにしています。

また、Atom Craftでのボリュームの調整も便利だった部分です。楽曲などを鳴らしながら、音量が大きすぎる効果音を調整していきました。

サウンドエフェクトについてはあまり多くは試用していないのですが、全体的に少しリバーブをかけています。

Atom Craftは、連続して音を出しても破綻しないこと、BGM、環境音、SEとカテゴリ別に音量を設定できるところがよかったです。また、ゲーム側からの音の制御も手軽に実装でき、助かりました。

――ADX2を導入する際、使い方が分からなかったり困った点はありましたか?

ADX2にはインタラクティブ・ミュージックを実装する方法が何種類かあります(筆者注:AISACやセレクタ、ブロック再生など)。まずはその理解と、UnityとADX2を連携する際の適切な実装を知るのに手間取ってしまいました。

また、初めは「最大再生数の制限」の設定を知らず、BGMが消えてしまうバグが出てしまったりしたところが大変でした。今では優先度設定で制御しています。

実装で困った点としては、「DSPパスの設定方法」や、「Unity側から個別にBGM、SE、環境音などのボリューム調整を行う方法」が一見分かりづらかったことです。基本的にUnityとADX2で連携して凝ったことなどをしようとすると、まだまだ情報が少ないと思います。このあたりは、今後実装サンプルやマニュアルが増えていってほしいなと思います。

また、Atom Craftは独立したソフトなので、立ち上げるのが少し面倒だったり…(笑)。個人製作ではあるあるですが、ゲーム開発はサウンド回りを常に触ってうるわけではないので、久しぶりにAtom Craftを触ろうとしたときにどうやるんだっけ?となりがちなところが少し大変でした。

――ADX2 LEの今後に期待する機能はありますか。または、サウンド開発に関してこんな機能があったらいいな、という展望はありますか。

機能というよりも、ゲームと連携した実用的なADX2の使い方に関して説明が充実したらいいなぁと思います。特に、ADX2側の各種パラメーターにアクセスする方法が見つけづらかったので、どうやってこれ実装するんだろう、と詰まるところがありました。端的には、Unity用ADX2サウンドマネージャーみたいな存在があると、助かると思います。

インタラクティブミュージックを実装したときや、ハイパス・ローパスフィルターを実装するとき等、補助用のAPIやサンプル、アセットなどが充実してほしいと思っています。

個人的には、チュートリアルや解説のツールのバージョンが古いことがあり、UIの差異で困ることが多かったです。これは、今後の更新に期待しています!

――最後に、本作に関する告知や宣伝がありましたらお願いします。

『朝はどこ』は、音も含め、五感に対して気持ちいいことにこだわったゲームを目指しています。開発進捗もちょくちょく出していきますので、興味があればtwitter等もフォローしていただけるとうれしいです!

 

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