ゲームサウンドクリエイターインタビューVol.6 ーリサレコ 久場 超(来兎)ー


サウンドクリエイターインタビュー第6回で取り上げるのは株式会社リサレコの久場超(来兎)さん。
早くから音楽の才能を発揮し、地元沖縄を拠点にゲームだけでなくCM、アニメの劇伴なども手掛ける久場さんの音楽に対する思いについてお話を伺いました。


―クリエイタープロフィールー
久場 超(来兎)
ゲーム音楽家


<制作に関わったタイトル>
・MELTY BLOOD(TYPE-MOON・フランスパン)
・UNDER NIGHT IN-BIRTH(フランスパン)
・Indivisible(Lab Zero Games)
・魔神少女 -Chronicle 2D ACT-(フライハイワークス)
・おそ松さんのへそくりウォーズ~ニートの攻防~(Avex Technologies)
・キングダムDash!! (Avex Technologies)
 など

―Web―
株式会社リサレコ
https://lisa-rec.net/

 

―まずはご経歴を教えてください。

自主的に音楽に触れ始めたのは、小学4年の時です。新聞広告で見たエレクトーンがボタンいっぱいでカッコいいなと思って、エレクトーンを習いたいと親にねだってレッスンに通い始めました。
割と才能はあったみたいで、通ってすぐに先生の弾いたメロディを聴いて真似して弾くことが出来ました。
ただ、そのせいかレッスンが簡単すぎてつまらなくなってしまって……全レッスン日程のうち半分ぐらいはサボってしまいました。サボった日は、デパートのゲームコーナーに行って、人のプレイしているゲームの音をひたすら聴いていましたね。

その後、18歳のときに沖縄で同人サークルを立ち上げました。最初は同人誌を作っていたのですが、成り行きでゲームも作るようになり、私はそのゲームの音楽を担当しました。
作ったシューティングゲームを東京の同人ショップで委託販売していたのですが、それを買ってくれた東京の同人サークルの方とネットで知り合って、そこのサークルが作ったゲームの音楽も作るようになりました。
そうやって同人ゲームの音楽を作っているうちに商業の依頼もいただくようになり、あれよあれよと今に至る感じです。

―早くから音楽の才能が光っていたのですね!今現在の主な仕事内容や活動内容を教えていただけますか?

ゲーム音楽と効果音制作をメインに、現在の活動拠点である地元沖縄のCM音楽や、たまにアニメやドラマの音楽を作っています。

―ご自身のサウンドに大きく影響を与えたと思える人、出来事は何でしょうか?

ゲームセンターから聴こえてくる音が好きで、グラディウス、パックランドやドルアーガの塔なんかは好んで筐体の近く聴いていたのですが、明確にゲーム音楽のコンポーザーを意識したのは、アーケードでは『ドラゴンスピリット』の細江慎治さん。パソコンでは『イースⅡ』の古代祐三さんがきっかけです。
 

―ゲームサウンド制作・実装において心がけていること、モットーなどはありますか?

私はゲームの音楽を「BGM」という背景として一歩引いたものではなく、基本的に「テーマソング」として捉えています。そのテーマソングでゲームの世界観をいかに広げていけるかを常に考えています。
作家性というものは必要無いのでは?と考えていた時期もあったのですが、私自身、作家性が出ているコンテンツを好んでいるので、やっぱりゲーム音楽に関してはエゴは出していくべきだという結論に至って、基本そういうスタンスで作曲しています。
 

―ゲームだけでなく、アニメやCMの音楽制作も数多く手がけていらっしゃいますが、それらと比較してゲームサウンド制作で特に違うところ、気を付けていることなどがあれば教えてください。

そうですね。まずCM音楽では、エンドユーザーにどんな印象を持ってほしいか、商品名を覚えてくれるかなどを第一優先に作っています。フラットにCMの商品を見ることで、作曲する際にはプラスに働いています。

アニメの場合は、ディレクターさんが明確にサウンドイメージを持っているので、そのイメージを理解して追い込んでいきます。大変ですが、ゴールの方向はわかるので辛くはないですね。

ゲーム音楽は、私自身ゲームが好きで、遊んだり作ったりしていたので、どうしても個人的なこだわりが音楽に出てしまいますね。そのこだわりの部分を今どれだけ出すべきか、引っ込めるべきかを考える必要があるので、ゲーム音楽を作る際は技術というよりも心情的に気を使っています。
 

―ゲームサウンド制作におけるお気に入りのツール、ソフト、リスニングデバイスなどがあれば教えてください。

Cubaseを20年以上使っています。効果音のエディットはSoundforge。オーディオインターフェースはUNIVERSAL AUDIO Apolloで、スピーカーはこちらももう20年使っているFOSTEX NF-01A、ヘッドホンはYAMAHA MDR-CD900STとSennheiser HD598SRを使い分けています。

 

―ゲームサウンド制作以外で、今精力的に取り組んでいることはありますか?

You Tubeで、音楽制作講座などを公開していけたらなと考えています。
私自身、若い頃は独学で知りたい情報を得られず苦労したんです。
だから、今音楽を始めた若い方には、私がしたような無駄な苦労はすっ飛ばして、どうせやるなら実のある苦労に時間を使ってほしいなと。
 

―今後ゲームサウンドで実現したいことはありますか?

私はBGMと効果音を請負で作るという立場なので、ゲームサウンドでやってみたいアイディアや演出は結構あるのですが、実際にやってみる機会はなかなか無いんです。
もしやるとなって、サウンドを細かくコントロールするとなるとプログラマの負担が大きくなるので、CRI ADX2はじめ、サウンドミドルウェアを使える案件に巡り会えたら色々やってみたいですね。
 

―ありがとうございました!


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