ADX LEユーザーインタビュー Vol.7『ヤマふだ!にごうめ』編


こんにちは、「CRI ADX」サポーターの一條です。

CRI・ミドルウェアでは、同人・インディーゲーム開発者や学生を対象として、無償版サウンドミドルウェア「ADX LE」を提供しています。
(ちなみに、最近「ADX2」という製品名から「ADX」という名前に変更になりました。)

本インタビューシリーズは、ADX / ADX LEの魅力を同人・インディーゲーム開発者にもっと知ってほしい!という思いから、実際にADXを開発に採用したクリエイターにインタビューを行うものです。(前回の『Four Legs Chicken』編はこちら

第7回は、WLK(えるけ)氏が開発した『ヤマふだ!にごうめ』の事例をご紹介します。

——自己紹介と本作のご紹介をお願いします。

WLK(えるけ)と申します。趣味でゲームを開発しております。ジャンルはまちまちで、今回で8作目になります。

【ヤマふだ! にごうめ】は、カードを使って登山をするゲームです。『ローグライクデッキ構築』と呼ばれるジャンルで、どなたでも楽しめる難易度になっています。

——ADX LEを導入するきっかけはどのようなものでしたか?

過去に二次創作のゲームを開発していた頃、「効果音でも原作の雰囲気を出したい!」と思ったことがきっかけです。
いろんなソフトを試す中で、ADX LEが『波形を非破壊に編集しながら、そのまま組み込みまでできるツール』であることがわかりまして、使用することにしました。

——ADX LEを導入する際、使い方が分からなかったり困った点はありましたか?

導入を決めてからは、書籍『CRI ADX2で作るゲームサウンド制作ガイド』を購入しました。雰囲気で使えているとは思います。

一度困ってしまったのは、ひとつのキュー(SE)に多くの音を登録して再生したところ、ボイスリミットグループを分けているはずのBGMが止まってしまったことです。ただ最近は起きていないので、単に指定ミスだったのかも知れません。

(筆者注:プロジェクト全体の同時再生数はCRIWARE Library Initializerから設定できます。また、ボイスリミットグループ内のプライオリティ設定はAtom Craftから設定可能です。

——本作は山登りのさわやかさを表現するオープニングの環境音や鳥の声が印象的です。

オープニングはループになっています。環境音もループですが、ヤマによって別の音を鳴らしています。

また、ゲームプレイ中は多くの音が重なっているため、バンドパスフィルター(音の低域や高域をカットして聞こえ方を変化させるもの)を使って、効果音やBGMの邪魔にならないように気を付けました。

(筆者注:バンドパスフィルターはキューごとに設定できるほか、DSPバスのバンドパスフィルターによって複数のキューに対してまとめて処理することも可能です。)

——本作は登山がテーマということで、歩行にも「ジグザグ」「はしる」「ふみしめる」などのバリエーションがあります。足音に変化はつけていますか?

行動による変化はつけていませんが、足音自体はシャッフル再生で何種類かから選ばれるようになっています。

地形別の足音も作成していましたが、納得のいく物ができなかったため、今回はオミットしています。

——Steamリリースに関して、ADXのデータ利用でなにか手間や考えることはありましたか?

OSX版を作成する際、古いUnityを使っていたため、最新に更新する必要がありました。またBuild Settingsでもハマるポイントがありましたが、Discordの「ゲームサウンド制作よろず」というチャンネルで質問したところ、有識者に教わって解決することができました。

Discordチャンネル「ゲームサウンド制作よろず」。ADXに詳しい川口氏が運営しています。

https://discord.com/invite/sWrRTgJ

——その他、ADX LEの機能で活用している機能はありますか?

先ほども少し触れましたが、『ボイスリミットグループ(同時再生数の制御、キューとは別に音ファイルごとに指定できる)』を使用しています。

そして、プレビュー再生のショートカットキーとしてスペースキーが割り当てられていたので、多く使っていました。

少し細かいところでは、BGMを途中から再生する際に、CriAtomSource.startTimeフィールドの存在が助かりました。また一部ですが、『イントロ付きループ』を利用したBGMもあります。

——ADX LEを導入して良かった点、逆に手間が増えてしまった点はありましたか。

良かった点としては、効果音の表現力が圧倒的に高まったことです。BGMや環境音にも、多少ですが加工が入っています。また、再生ファイルの呼び出しも楽で助かりました。

導入したことにおける手間については、Windows版においては特にありませんでした。一方Android版において、本作は沢山のBGMを使用しているため、容量制限に悩まされています。容量を気にせずAndroidやスマートデバイスに移植できるよう、外部ファイルの読み込みが楽にできると嬉しいです。

(筆者注:スマートフォンにおいては、Android App BundleやPlayFabなどのCDNサーバーにADXのファイルをアップロードし、データを端末にダウンロードしてから再生する手法が使用できます。参考URL

——ADX LEの今後に期待する機能はありますか。または、サウンド演出開発に関してこんなツールがあったらいいな、という展望はありますか。

キューシート内でキューをドラッグしている時、うっかり既存のキューに入れてしまい、そのまま忘れてしまう事があります。追加時はキュー内の子を自動展開するといった、追加された事を教えてくれるモードがあると助かります。

——最後に、本作に関する告知や宣伝などがありましたらお願いします。

おかげ様で、Steam内評価で『とても好評』を頂くことができました。
皆様のレビューや、プレイ動画により、アップデートを重ねられた結果かと思います。
スマートデバイスへの移植は上項の通り難航しておりますが、無事リリースできましたらまた告知させて頂きます。
次回作も作りたいと考えていますので、いつかまたお会いしましょう!

——ありがとうございました!

 Steamの製品ページはこちら


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