開発現場の声 – 3DS『プリパラ めざめよ!女神のドレスデザイン』- シンソフィア –
※本記事のオリジナルは2016年11月9日に投稿されたものです。
はじめに
ゲームやアニメで小さな女の子たちに大人気の、プリパラ。
アーケードゲームの3DS版、第二弾が11/10に発売されます!
移植作業や追加サウンドデータの管理などで
ADX2がフル活用されたという噂をキャッチして
その実態を聞いてきちゃいました!
もくじ
自己紹介
今度のプリパラは超パワーアップ!!
ADX2を使った経緯は?
ADX2を使って良かった事は?
音声の数がスゴイ!?
ランダム機能は地味にスゴイ!?
レアな演出だって簡単に作れる!!
プログラマーも驚いた!?
ADX2のツールは初心者でも簡単に使えた!!
インタビューを終えて
自己紹介
最初に自己紹介をお願いいたします。
シンソフィアのアシスタントディレクターという立場で、ディレクターとプランナーに近い仕事を色々とやっています。プリティーリズムの3DSの一作目の際に、このシリーズに関わるようになり、そこでサウンドの組み込みやリズムアクションの部分をずっと作ってきました。
タカラトミーアーツのアミューズメント事業部という、主にゲームセンター向けのゲームを扱う部署で、プリティーリズムから関わっています。ゲームに関しては、シンソフィアさんの企画内容をまとめつつ、コーデの種類や数を決めたり、webやパッケージ箱のデザイン周りを担当したりアニメ連動ではシナリオ会議にも出席して、どの部分を連動していくかを決めていく・・・といった役回りをしています。
すごく幅広いですね(笑)
本作のプロデューサーとして全体を見ています。シナリオを発注したり、メイキングドラマ(という演出)を作ったりしています。
今度のプリパラは超パワーアップ!!
大きく2つの売りがありまして、コーデとマイキャラの自由度、バリエーションがすごく増えました。
まずコーデについてですが、以前はフルコーデ(トップス、ボトム、シューズ)を一式まとめてのデザインだったのが、今回はバラバラにデザインできるようになりました。
マイキャラではアニメのキャラクターのパーツが使えるようになり、前作では100万通り以上と言っていたのが今回はもう数え切れないほどになりました。
アーケード版のゲームやアニメと連動した企画もありますので、ぜひゲームとアニメと両方を楽しんでいただければ。
5、6歳の女の子がメインターゲットではありますが、幅広いユーザーさんにも楽しんでいただけるゲームになっていますので、よろしくお願いします!
ADX2を使った経緯は?
前々作、プリティーリズムとプリパラの一緒のタイトルがあってそこでADX2に移行しました。アーケード版も前作の3DS版もADX2を使っていたので、今作も使う事になりました。
ありがとうございます。ちなみに移植の際には前作のデータを引き継いで、そこに更に音を追加した感じでしょうか?
そうですね。
となると、データのコンバートが必要だったと思うのですが、その辺りは問題なくできました?
はい。アーケード版では少し古いツールのデータだったのですが、新しいツール上ですんなりと現在の3DS用のデータに変換する事ができました。
あぁ良かった…我々も社内でサンプルデータを作って移行テストをしていますが、実際に現場で問題なく移行できたという話を聞くとすごくホッとします(笑) ありがとうございます。
圧縮コーデックの変更も、フォルダの設定をひとつ変えるだけで済んで簡単でした。
※対談中ではADXからHCAの切り替えの話ですが、現在のツール上ではHCAがデフォルト設定となっています。
ADX2を使って良かった事は?
プリパラより3〜4年前、プリティーリズムの時はADX2のツールを使わずにコンバートだけをやって管理をしていたんですが、どの音がどこにあるのか、すごくわかりづらくて苦労しました。
ツールを使うようになって「どのファイルの中にどの音声が入っていて」「サイズがこれくらいで」といった情報の見通しがよくなり、非常に楽になりました。
そうですね、それがADX2の売りでもありますし、川口がサウンド制作現場に居た時も、ファイル数が数千とか数万となったときに「これは専用ツールが無いと管理しきれないぞ…」と感じながらやっていました。
キャラクターの数が20数人は居て、ライブ中の掛け声だとか、メイキングドラマという技のボイスがたくさんあるんです。
音声の数がスゴイ!?
差し支えなければ、そのボイス数がどのくらいあったとか…。
1キャラにつき…1000くらいにはなっていたのかなぁ…。
じゃあざっと見て、2万くらいは?
あるんじゃないかな。
いやぁ、万を超えると管理が辛いですよね…。
ライブ中だけでなくて、プリチケ印刷するときに、印刷中のボイスってのがあって『どーん』『ばーん』『ひゅー』とか、細かい掛け声が何十とか、たくさんあるんですよ。ADX2のツールでデータ全体を見渡せるので助かりました。
ランダム機能は地味にスゴイ!?
ランダム機能がすごく好きで。
あぁ、あれ便利ですよね。
普段だったらプログラマを介してこれランダムにしてくださいとかお願いするところが、サウンドデータ側だけで編集できてしまうのが良いですね。
どのようなシーンで使われました?
例えばアーケード版だと読み込み中のボイスでキャラクターが自由に喋っているボイスがあるんですが、そこで使っています。起動するたびにその辺ランダムで喋るので、それが楽しみというお客様もいらっしゃいます。
あ、あれADX2の機能だったんですね!
最初ボイスとか何もなかったので、ボイス再生できないの?とプログラマに聞いてみたらやってもらえたんで、じゃあ何か適当にランダム突っ込んでみよう、とやったら思いの外、良いものができたと。
そうですね、ランダム機能は”地味だけど便利な機能”だと思っています。
全員
(笑)
レアな演出だって簡単に作れる!!
ランダムとかシャッフルとかシーケンシャルとか、あの辺の設定を上手く使いながらやってました。
ランダム再生なんですが、あれってそれぞれの音に対して「ランダム幅」って設定できるのご存知ですか?
あぁ、ありますね。
なので、それをお使いいただくとレアボイスみたいなものも設定できたりして…なかなか、ランダム機能を知っていてもその辺りを知られていなかったりするので…。
結構、あの・・・階層の深いメニューにありますよね(笑)
レアボイス作れるんですか?
作れます。このボイスだけは凄い確率低い、なんて事が簡単にできるので、ぜひお試しください。
プログラマーも驚いた!?
あと、これもやっぱり地味なんですが、ランダムの候補を増やしたい、減らしたいといった場合に音のデータをいじるだけで、プログラムを変えずに済むのが便利かなと思います。
そうですね。以前、プログラマーからも、こんなに数があったんですね・・・と言われてみたり。
プログラマーの知らないところでデータをどんどん増やしても、運用的には問題ない、と。
そうですね。それに、ツール側で一元管理できているので増えていっても、これだけあるんだ、というのが見てわかりますし、プレビュー再生も簡単ですし、便利ですね。
登録された音を一覧できるUI
ADX2のツールは初心者でも簡単に使えた!!
今までの開発ではADX2のツールを使うのはほとんど自分だったんですが、今回は新卒で入社3ヶ月の新人にやってもらいました。
新キャラのデータを追加する際に、既存キャラのデータを参考にしながらマテリアルフォルダーからドラッグ&ドロップする、という事しか教えませんでしたが、すんなりと作ってもらえました。
その方はプログラミングの経験や知識などお持ちだったんですか?
特になかったですね。
おお・・・専門家でなくても問題なく使えた、というのはとても嬉しい情報です。
CRIさんのおかげです。
いえいえ、ミドルウェアをお使いいただいている皆さんのご意見のおかげで、ツールが使いやすくなってきている証拠です。ありがとうございます。
インタビューを終えて
CRIはミドルウェアを提供していますが、直接ゲーム開発を行っているわけではないため、ときどきこうやって制作現場の声を聞いては「何に困っている」とか「何が役に立った」という部分をフィードバックし、より使い易いミドルウェアを目指して開発を進めています。
今回で言えば
・たくさんの音データの管理
・手軽なランダム機能
・個別の音量調整
・データ圧縮
・初心者も問題なく使えた!
といった辺りでお役に立てたようです。
この記事をご覧の方の中にもゲーム制作関係の方、目指している方などいらっしゃると思います。CRIが提供している「ミドルウェアって便利なものなんだなー」と覚えていただければ幸いです。
それでは、コーデもキャラもボイスの数も、超パワーアップしたプリパラを、ぜひお楽しみください!
ご協力いただいた加藤さま、川名さま、木村さま。
ありがとうございました!