ゲームサウンドクリエイターインタビューVol.2 ー竹ノ内裕治ー
ゲームサウンドクリエイターインタビューの第二弾で取り上げるのは、竹ノ内裕治さん。
ゲームサウンド制作の他ゲームサウンドコミュニティを活性化する活動にも尽力している
竹ノ内さんに今までとこれからについて聞いてみました。
―クリエイタープロフィールー 竹ノ内裕治 サウンドクリエイター <制作に関わったタイトル> 「Mystic Warriors 〜怒りの忍者〜」「生中継68」(コナミ在籍時) 「サーカディア」「CHAINDIVE」「激走トマランナー/激突トマラルク」(SCE(現SIE)在籍時) 「DEMON'S SOULS」「DARK SOULS」「モンハン日記 ぽかぽかアイルー村」シリーズ(フロムソフトウェア在籍時) 「D4: Dark Dreams Don’t Die」(アクセスゲームズ在籍時) 「THE MISSING ~J.J.マクフィールドと追憶島~」「エヴァンゲリオン・バトルフィールズ」(リオナ在籍時) など 更に詳しい経歴などはこちら
―まずはご経歴と、現在の主な仕事内容などを教えてください。
1989年に業界へ飛込み、様々な会社を渡り歩いて、もうすぐ32年目に突入します。
2020年10月いっぱいで株式会社リオナを退職しましたが、
現在も相変わらずゲームサウンドのお仕事をさせていただいてます。
―ご自身のサウンドに強く影響を受けた出来事などはありますか?
自分は1989年にコナミに入社してキャリアをスタートさせたのですが、
この時代は社内にサウンドを抱えている会社が多く、サウンド部署の中で技術だけでなく
様々なものが受け継がれていった時代でもあると思います。
音楽の勉強を全くしていない自分がこうやって30年以上もサウンドで飯を食っていられるのは、
それらがあったからこそ…だと思っています。
―制作・実装において心掛けていること、モットーなどはありますか?
2つあります。
①ゲームに音をつけていくのって、創世主が星を作って生き物のアバターを置いて…
そこに空気を送りこんだら命が宿って…みたいなのでいうところの【空気】にあたるものだと思ってるんです。
空気って普段その存在を意識することはないですけど、とっても大切ですよね。
そんな【空気】になれるサウンド作りを心掛けたいと思っています
(もちろんゲームにおける【空気】感の表現=空間演出も大切にしています)。
②誰のためにゲームサウンドを作るのか…を考えたとき、
やっぱり1番は【そのゲームのため】に作ることが大切だと思っています。
【遊んでくれる人のため】に作る?遊んでくれる人はみんな違う感性を持っているけど
その中の誰に向けて作るの?って話にもなりますもんね。
ゲームは商品ではあるけど総合芸術作品でもあるという認識なので
ディレクターの意図を汲み取って音を操り最高の総合芸術作品を仕上げていきたいと考えています。
―ゲームサウンド制作におけるお気に入りのツール、ソフト、リスニングデバイスなどがあれば教えてください。
近年は、どこにどういったサウンドをつけようか考えたり、
音がついてゲームらしくなっていく過程、が堪らなく楽しく……
そういった意味ではお気に入りのソフトは、
ここ数年担当したタイトルで多く使ってきたゲームエンジンのUnreal Engine 4でしょうか。
本当はUE4をもっと勉強して簡単なゲームっぽいものを作れるくらいにまでなりたいんです。
そうやってサウンド以外の部分を理解するとサウンドを俯瞰視点で(森を見渡した上で木を)見れますし、
それが自分の作るゲームサウンドのパワーアップにも繋がりそうなので。
―ゲームサウンド制作以外で、今精力的に取り組んでいることはありますか?
趣味になるんですが色々と収集癖がありまして(笑)こんなの集めてるよーっていうのをまとめたサイトを作りました。お暇な時にでも是非見てみて下さい。
―今後ゲームサウンドで実現したいことはありますか?
技術的に実現したいことはサウンドプログラマーさんにお任せするとして、
自分としては先に述べたような【技術だけでなく様々なものが受け継がれていく場】を
会社の垣根を越えたサウンドクリエイター間で作っていきたいと考えています。
昨年から佐藤豪さんと共にゆるゆると始動したサウンド勉強会コミュニティがそれです。
サウンドクリエイターの底上げは目的の1つとしてあるのですが、
それ以外にもサウンドとサウンド以外の相互理解を深めていけたらなぁ…と思案中です。
双方がお互いの仕事の進め方などを少しでも知っているだけで色々とスムーズになる部分って多いと思うのです。