ゲームサウンドクリエイターインタビューVol.1 ―NHN JAPAN 佐藤 豪―
サウンドミドルウェア「CRI ADX2」を提供しているCRI。
技術を提供するだけでなく、実際に製品を使っている方々が普段どういったことを考えているのか、
ゲームサウンド制作に携わる方のお話をもっと聞きたい!という思いから、
一問一答形式でのインタビュー企画を始めることにしました。
第一回である今回はNHN JAPANの佐藤豪さんにお話を伺いました。
―クリエイタープロフィールー 佐藤 豪 サウンドクリエイター <制作に関わったタイトル> ・#コンパス【戦闘摂理解析システム】(NHN PlayArt・ドワンゴ) ・DAME×PRINCE(NHN PlayArt) ・チョコットランド(NHN JAPAN) ・アカとブルー TYPE-R(タノシマス) ・雷電II、DX、III、IV(セイブ開発) ・WEB漫画サイトcomico TV-CM など
―まずはご経歴を教えてください。
高校卒業後、1年ほどゲーセンの店員を経験した後に、
セイブ開発というゲーム制作会社にサウンドクリエイターとして入社してキャリアスタートしました。
その後大手ゲームメーカーなどを経て現在のNHN JAPANに入社し、現在に至ります。
―現在の主な仕事内容などを教えてください。
NHNグループにはスマートフォンゲームを制作するNHN PlayArtという子会社があり、そこで制作しているゲームのサウンド制作や、NHN comicoという子会社が運営しているWEB漫画サイトのPVやTV-CMのサウンド制作なども行っています。
―ご自身のサウンドに強く影響を受けた出来事などはありますか?
やはりなんと言ってもゲームミュージックそのものに大きく影響されています。初めて好きになったゲームミュージックはナムコの「リブルラブル」でした。これをきっかけに様々なゲームミュージックにどっぷり傾倒していき、自分のサウンドの原点になっています。
一方でフュージョンバンドのT-SQUAREやヘヴィメタル、ファンクといったジャンルにも大きく影響を受け、自分のカラーの要素になっているのではないかと考えています。
―制作・実装において心掛けていることはありますか?
制作において心掛けている事は、効果音などで出せる周波数は可能な限り出すようにすることです。 爆発音などは低音を多く含みますが、出し過ぎると音割れや他の音をマスキングしてしまいます。
しかし他の音の周波数帯との棲み分けを考えて出方を調整したり、 ダッキングなどで適正なバランスを保てるので、これによって結構大胆に低音を出すようにしています。
また実装に関しては、ゲームが進行していく中の瞬間瞬間で常に演出の主役が変化していくので、主役となる音も制御して目立つように心掛けています。
―ゲームサウンド制作におけるお気に入りのツール、ソフトなどがあれば教えてください。
ARPというメーカーのシンセサイザーが好きで、中でもARP ODYSSEYというモデルが手軽で好きです。 非常に古い製品なので現在はヴィンテージ品として高値がついて手が出ないですが、KORGが物理的なクローンモデルとソフトウェア両方で販売している他、GForceというメーカーでもODDITY2という名称でシミュレーションソフトを発売しています。なお、3つとも所有しています(笑)
▲佐藤さんお気に入りのシンセサイザー、ARPODYSSEY
■ARP ODYSSEY Module(鍵盤なしモデル)
■ARP ODYSSEY for Mac/Win
■GForce ODDITY2
―ゲームサウンド制作以外で、今精力的に取り組んでいることはありますか?
この仕事はインドアな仕事ですが、私は元々スノーボードやドライブなどアウトドアな人間で、
ずっと引き籠っていてストレスMAXなので、出歩く機会を増やそうとしています。
コロナの影響で制限も多いですが、車に折り畳み式ロードバイクと野外録音機材を積み、
海や山に出向いてアウトドア趣味と仕事を兼ねた楽しみ方を計画中です。
―今後ゲームサウンドで実現したいことはありますか?
これまでもフォーリーや野外録音を行って素材として録り溜めるのですが、
これからもより豊富に素材を増やしていって、自分だけの音の世界観というものを表現していきたいと思っています。
人と同じ素材使って「この剣の音、あれと同じじゃん」って言われてしまうのはダメだと思いますから。