ADX2 LEユーザーインタビュー Vol.2『星樹の機神 ユニティユニオンズ』編
こんにちは、「CRI ADX2」サポーターの一條です。
CRI・ミドルウェアでは、同人・インディーゲームクリエイターや学生を対象として、無償版サウンドミドルウェア「ADX2 LE」を提供しています。
本インタビューシリーズは、ADX2 / ADX2 LEの魅力を同人・インディーゲームクリエイターにもっと知ってほしい!という思いから、実際にADX2を開発に採用したクリエイターにインタビューを行うものです。(前回の『魔砲少女のメイガスフィア』編 はこちら)
第二回は、同人ゲームサークル電猫遊戯さんの『星樹の機神 ユニティユニオンズ』をご紹介します。
――自己紹介と本作の紹介をお願いします。
同人ゲームサークル「電猫遊戯」の代表をしています、ほーせんかです。同一世界観内で様々なゲームを製作するサークルとして活動しています。
本作『星樹の機神 ユニティユニオンズ』は、ファンタジー世界でミニオンと呼ばれるお供と一緒に敵群をなぎ倒す、ハクスラTPS作品として製作しました。
ドロップした様々な性能の杖を組み合わせながら、その時々の状況に合わせたミニオン編成で戦うのが楽しい3Dシューティングゲームになっています。
去年の12月に冬コミで、そして今年の5月にSteamでリリースさせて頂きました。ゲームエンジンはUnity 2018.4.3f1を利用しています。
――本作は製品版の「ADX2」を利用していると伺いましたが、初めは「ADX2 LE」を利用されていたのでしょうか?
はい、開発当初はADX2 LEで開発を進めていました。本作では元々パブリッシャーとの契約を前提としたSteamでの販売を考えていたので、製品版ADX2の利用が視野に入った感じです。(『星樹の機神 ユニティユニオンズ』はアメリカのSekai Projectがパブリッシングを担当。)
色々調べていく中で製品版への移行のコストが低いこと、製品版固有の機能である「データ暗号化」が必要だと感じたこと、その他にも利点があるなと感じたので導入に至りました。
――UnityにADX2を導入する際に、使い方が分からなかったり困ったことはありましたか?
サウンドミドルウェア自体を導入するのが初めての経験でしたので、全てが手探りでしたね。はじめのころは、最大発声数を管理する仕組みや、キューシートの仕組みを理解するのに少し時間がかかりました。
ただ、日本語のマニュアルやドキュメントが充実してたので問題なく組み込めました。国内コミュニティのスレッドや書籍(Unityサウンド エキスパート養成講座)など、日本語の情報が数多くあるのはADX2の明確な強みだと感じます。
――ADX2のオーサリングツール「Atom Craft」の使い勝手はいかがでしたか。
今回、Atom Craftを使ってもらったのはサウンド担当の方だったのですが、どうしても普段使っているDTMソフトと比較してしまうそうで、最初は少しとっつきにくく、慣れるまでに少し時間がかかったようです。Atom Craftはゲームでの制御など、ゲーム側で「どういう風に音のデータが使われるか」という知識が必要になるためですね。
楽曲部分では、ループポイント指定によるBGMループを実装しています。これはUnityでは実現できない表現なので、とても助かりました。
今回は作曲担当とサウンドの実装担当は別の方だったので、インタラクティブミュージックなどの凝ったことはしていません。
――ADX2を導入したあと、思いがけず便利になった点はありますか。逆に思わず手間が増えてしまった点はありましたか。
Atom Craftの「インゲームプレビュー」機能にはとても助けられました。エンジニアを介さずに音作りを進められるため、サウンド担当と実装担当のコミュニケーションコストが低減されるのは、ウチのような同人サークルにはとても助かります。
(注:「インゲームプレビュー」とは、PCやゲーム機で実行されているゲームとPC上のAtom Craftを通信接続する機能。ゲームを走らせながら、ツール側でボリュームや各種パラメータを操作できる。)
ただ、今回は音声ファイルの数が多く、キュー設定などの作業が想定よりも大変でした。
――本作は「ハクスラTPS」ということで、さまざまなアイテムや「ミニオン」が多数登場します。効果音の処理についてADX2の機能は活用していますか?
ミニオンはもちろん、本作ではエネミーやアイテム、射撃の発射、着弾など音を発するオブジェクトが多数登場するので、効果音の優先順位付けや再生数制御を活用しています。
また、ボイスのバリエーションを出すため、複数のボイスパターンからのランダム再生の制御をADX2側の再生処理で実現しています。(注:キュー内のトラックランダム再生機能)。ピッチ変更の機能も、部分的に利用しています。
――そのほか、本作で特に役立ったADX2の機能はありましたか?
今回のゲームは、数多くのオブジェクトによるSEとボイスがBGMに重なって鳴るので、BGMのダッキング機能にはお世話になりました。
サウンドミドルウェアを導入する前は、「とりあえず鳴らせばなんとかなるだろ」と軽く思っていたのですが、音が重なった時の違和感は3Dゲームでは特に顕著だと感じるので、これもADX2を導入して良かったと思う点ですね。
――ADX2の今後に期待する機能はありますか。
Unityの機能との連携なのですが、キューシートなどのAdressable Asset System対応があると、リソース管理を一元化できるので助かります。
あと、機能ではありませんが、パブリッシャーを介さずにADX2の本製品を使える道筋を用意して貰えると、小さなサークルとしては嬉しいです。
機能的には、ADX2は必要なものが揃っていると感じています。どちらかというと、それを使って何をするのかという部分が思い浮かびにくいのがネックだと感じているので、ADX2を使った実験的な作例などが沢山あると、利用者はイメージを作りやすいのかなと思いました。
――今後はデモをたくさん用意しようと思います!最後に本作に関する告知や、次回作の宣伝などがありましたらお願いします。
今年の11月に開催されるデジゲー博にて、「星樹の機神 ユニティユニオンズ」の試遊展示を行う予定です。是非遊びに来て下さい!
現在次回作を鋭意制作中ですが、お披露目はもう少し先になりそうです。
次回はインタラクティブミュージックにも挑戦しようと思っているので、引き続きサウンド開発にも力を入れていきたいと思います。
――ありがとうございました。
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