レトロなスペックのユニークなガジェットでADXを動かしてみた!?
お世話になっております。CRI-MW開発の有働です。
みなさん、最近インディーゲーム界隈で “Playdate” なるゲーム機が広がりを見せていることはご存知でしょうか?
実は、最近CRIが協賛したイベントのいくつかで、Playdate上で動くCRI ADXのデモを展示していました。弊社ブースを訪問いただいた方は覚えているかもしれません。
今回は、このデモを作るために行った実験について、簡単にご紹介します。
Playdateとは?
黄色で、ポケットにスッと収まり、美しいモノクロスクリーンと冗談みたいなクランクを備えた、まったく新しい携帯ゲーム機。
– @PlaydateJP Playdate 日本公式Xの紹介文より
アメリカ ポートランドで生まれた、十字キー・A/Bボタン・白黒スクリーンを備えた携帯ゲーム機です。
特筆すべきは右側から引っ張り出せる クランク。
「回す」という操作感がインディーゲーム開発者の間で新しいアソビの形のインスピレーションとなり、最近日本のインディーイベントでもPlaydate用に作ったゲームが展示されるケースが増えてきました。
さて、このPlaydateですが、複雑なサウンド演出を行いたい場合、自前で実装する必要があると言われています。
そこで我々は、まさにそれを得意とするADXをPlaydateで動かすことができないか調査を始めました。
ADXとは?
ADXとは、ゲームにおいて複雑なサウンド演出を手軽に作れるツールとプログラムのセットです。
ADXを使用すると、サウンド演出の設計がツール側で完結するため、多人数でのゲーム開発において効果を発揮します。
また、プログラムもさまざまなプラットフォームで低負荷で動作するように作られています。
そのため、スマートフォン向けゲームをはじめとして、ゲームでの採用例は2024年9月末の時点で8,700タイトルを超えます。
サウンド演出の設計がツールで完結すると言うことは、ツールで作った複雑なサウンド演出をゲーム側で「再生」するだけで良くなることを意味します。
つまり、そのゲームが(Playdateを含め)どんなゲーム機で動いていたとしても、複雑なサウンド演出を自前で実装する必要がなくなるのです。
技術的制限
Playdateはレトロなスペックを念頭に作られているため、用意されているCPUのクロック数やメモリ容量(計算資源といいます)は少ないです。
そのため、普通にゲームを作る際も、「その計算資源の中でいかに面白いゲームを作るか」という、ある種のチャレンジが生まれています。
その制限はADXにも平等に課されます。
ADXには、それがデバイスにかける計算資源的な負荷を事前に計算する機能が存在します。
しかし、その計算上では動くように見えても、実際に動かしてみないとわからないこともあります。
社内での実験中には、動作の可能性に懐疑的な見方もありましたが…
ADX on Playdate 技術デモが完成!
なんとADXがPlaydate上で動作しました!CRIWAREロゴがPlaydate上に進出した瞬間です。
見ての通り、描画側はシンプルに作られています。
さすがのADXでも処理を節約しないとCPU負荷が大きいことがわかり、コーデックは低負荷なものを選択する必要がありました。
しかし、AISACやセレクターによるトラック遷移(縦遷移)など、ADXならではの演出が動作しました。クランクの操作で音が変化する様は必見です!
AISACを使用した、2曲間の自由なクロスフェード
セレクターによるトラック遷移、クランクによるエフェクト
まとめ
このPlaydateアプリは、最適化など、実用化に関しては様々な課題が残っています。
しかし、PlaydateのスペックでもADXが動かせることがわかり、改めてADXの強力なサウンドデザイン性能と低負荷性を示すことができたと考えています。
このデモは、今後も各イベントで展示する予定です。実際に見てみたい方はぜひCRIのブースを訪れてみてください!
直近では、Indie Developers Conference 2024 にて展示を予定しております。
今回ターゲットになったデバイスはPlaydateでしたが、「ADXを動かせるかもしれない…?」というようなデバイスを見つけた時には、また技術デモの制作に挑戦するかもしれません!
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