【CRI ADX 最新機能紹介!】ミキサー Version2【CRI Atom Craft Ver.3.55.00】

CRIの大町です。
先日CRI ADX SDK Ver.2.29.00及びCRI Atom Craft Ver.3.55.00を公開しました!
また、同じ機能に対応するUnity向けプラグインCRIWARE Unity Plug-In Ver.3.12.00も併せて公開しました!
(無償版のADX LEは4月11日に更新版を公開予定です)

この記事では新しいSDKで追加された「ミキサーVersion 2」について紹介します!

ミキサーVersion2アップデート概要

ミキサーがバージョンアップしました!画像を見てもわかるとおり、様々な設定が可能になっています!
複数の出力先を指定できるようになり、フォーマットの自由度がアップ。特にコントローラーで音声や振動を再生する際の利便性が向上しています。また、立体音響関連でもオブジェクトベースオーディオ、Ambisonics、パススルー再生などの取り回しが簡単になるよう調整しました。他にも制作に役立つ機能を追加しています!

複数仮想デバイスへの出力

ゲーム機向けのプロジェクトでは、コントローラースピーカーからの再生や、様々なプラットフォーム機能を使用することができます。ただし、ADXで実装する際には、プログラムで追加のミキサー(ASRラック)を作成する必要がありました。また、追加のミキサーからの再生には特別な指定が必要で、少々複雑でした。

この手順はAtom Craftを使用するデザイナーとプログラマー間で情報の共有が必要で、制作上の負荷が高いものでした。また、プログラムで追加作成するミキサーはAtom Craft上に表示されないため、Atom Craft上で再生確認ができないという問題もありました。

これらの問題を解決するため、1つのミキサー上に複数仮想デバイスへの出力を設定し、オーサリングできる環境を整えることを考えました。
今回のバージョンアップで出力デバイスをバスとして扱えるようになったことで、より直感的な信号ルーティングが可能になりました。スナップショット機能を活用することで、動的なルーティング制御も簡単に行えます。
また、設定のほとんどはCRI Atom Craftで完結できるため、プログラマと共有しなければならない事項は従来よりかなり少なくなりました。

コントローラースピーカー出力

コントローラースピーカーからの再生は、出力先に「パッドスピーカー」を設定することで簡単に使用可能です。プログラムでは割り当てるコントローラーを指定するだけです。

一部のゲームでは、コントローラースピーカーの代わりに、通常のヘッドホンやスピーカーから再生するような機能を提供する場合があります。ミキサーVersion2なら、音声を1つのバスにまとめておき、スナップショット機能でバスセンド量を切り替えるだけで、簡単に実現できます。

スナップショットの適用も、ADX 2.28以降で使用できる「ミキサーを対象にしたアクショントラック」で呼び出し可能です。アクションキューとして用意しておくことで、プログラム側からはキューの呼び出しだけで、ボイスの出力先を切り替えられます。

あまり知られていませんが、ADXのSDKにはゲームを実行するターゲット機でAtom Craftのプレビュー再生を行えるターゲットプレビューワーが付属しています。(ADX LEにはありません)
活用することで、ゲームプログラムを起動せずともAtom Craftからコントローラーからの出力を確認することができます。

 

音声ベース振動出力

いくつかのゲーム機では、音声波形を再生することでコントローラーを振動させる機能が提供されています。もちろんADXでも実装可能ですが、これまでは振動用の音声と効果音を両方再生制御する必要がありました。この方法は2音分の再生リソースを消費する上、設定コストが高い問題がありました。また、振動をAtom Craftで確認できない点も課題でした。

ミキサーVersion2では音声をMasterOutと振動用のバス両方にセンドすることができます。効果音として再生した音を、バスエフェクトで加工して振動用の波形としても流すような使い方も可能になります。

また、対応しているコントローラーをPCに接続することで、Atom Craft上でもコントローラーの振動を確認できるようになりました。

立体音響関連ルーティングの改善

ADXで立体音響の対応をリリースして2年ほど経過しました。ユーザーの皆様から様々なフィードバックをいただき、改良を行いました。

従来、7.1.4chやAmbisonics、オブジェクトベースオーディオ、パススルーの再生には出力ポートを使用しており、ミキサー上で確認ができない状態でした。

新しいミキサーでは、7.1.4chやAmbisonics、オブジェクトベースオーディオ、パススルーでの出力を指定できるようになりました。パススルーの音声にエフェクトをかけることもできます。
例えばキューをオブジェクトベースオーディオと7.1.4chのバスの両方にセンド。オブジェクトベースオーディオでドライ成分を再生して、リバーブを7.1.4chで生成する、なども可能になります。

オブジェクトベースとチャンネルベースリバーブの併用デモ(Sound xR使用)

ミュートスイッチ

ADXのミキサーでは、種類別に音声をまとめて再生するような使い方が標準的です。プレビュー時にリバーブ成分だけを確認したり、インゲームプレビューでSEにフォーカスして音声の確認を行ったり、といったケースがあると思います。このような場合に、バスのボリュームスライダーを変更してしまうと、調整をおこなっていたボリューム情報が失われてしまいます。

プレビュー用途での一時的なミュートとして、今回のミュートスイッチを活用してください。プログラムからも呼び出し可能なので、エディタで確認中に特定のバスの音声だけを聞きたい場合も、この機能を活用できます。

Unreal Engine向けプラグインについて

上記新機能に対応したUnreal Engine向けプラグインについては現在準備中です!

最後に

いかがでしたでしょうか。新機能が皆様の制作の一助となれば幸いです。ご意見ご要望がありましたら、テクニカルサポートや公式Discordなどでご相談ください!
(公式Discordがどういったサーバーかについての記事はこちら

以上です!

 

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