開発現場の声 – PS4 / XboxOne / STEAM『SOULCALIBUR Ⅵ』サウンドメイキング 前編- バンダイナムコスタジオ / ディンプス –


目次

・お話を伺ったみなさん
・SOULCALIBUR Ⅵとは
・シリーズ初の開発体制
・音の記号化
・ADX2での音のバリエーション作り
・インタビュー後編について


お話を伺ったみなさん

– はじめにみなさんについて簡単に教えてください

中鶴
ディレクターの高橋と、サウンドについては私、中鶴がセクション全体を統括、矢野がバンダイナムコスタジオ(以下、BNS)側の実装やサウンド演出を中心に見ている事実上の統括で、大島さんがディンプス側のサウンド開発全体をまとめられています。更に音楽を作る人・効果を作る人・音声編集する人など様々な方にご協力頂いていますが、サウンドについては基本的にこの3人がコアとなって、開発を進めて行きました。


SOULCALIBUR Ⅵとは

高橋
20年前に稼働していたアーケードゲーム “SOULEDGE” から続く、1vs1の武器対戦格闘ゲームのシリーズ最新作です。
前作のSOULCALIBUR Ⅴの時代設定は(同じ16世紀前後が舞台とはいえ)I〜VIより少し先の時代でしたが、今回はIやIIの頃の時代に戻り、世界観や遊びやすさについて『懐かしいけれど、新しい』というコンセプトがありました。

ポイントは3つ
・手軽に格好良く戦える剣劇バトル
・世界観を再構築する
・キャラクタークリエイションを始めとする、シングルプレイの充実

– 発売されて半年ほど経ちましたが、世の中の反応はいかがでしょうか?

高橋
もともと海外での人気がとても高いシリーズで、海外のイベントに試遊台を用意した時は新システムにまだ慣れていない様子はあったものの、こちらの想定をはるかに超える早さで上達してきて驚きました。また日本でもつい先日、福岡で行われたEVO Japan 2019というイベントで正式種目として選んでいただきまして、今後も盛り上がっていくのではないかと楽しみにしつつ、ユーザーコミュニティの熱量に負けないようにバランス調整、キャラやパーツ追加、モード改修といったサポートを続けていくぞ、と感じているところです。


シリーズ初の開発体制

高橋
これまでのシリーズはバンダイナムコの中で作ってきたんですけれども今回初めてディンプスさんにご協力いただいて、よい形で作る事ができました。

中鶴
最初は「はじめまして」とお互いのラーニングから始めてね、合宿などもやりました。(※ディンプスさんは大阪、バンダイナムコスタジオ(以下 BNS)さんは東京の会社です)

まずは大島さんがこっちへ来ていただいて「SOULCALIBURとは?SOULCALIBURサウンドとは?」という話をし、次は私達がディンプスさんに伺って、どんな作り方をしている人たちなのか…お互いを知るための期間を取りました。


音の記号化

中鶴
最初の合宿で高橋から「今回はとにかく原点に戻るんだ」という方針が示されたのでそれをサウンドで実現するためにはどういう風にして行こうか…設定的にI、IIあたりに戻るという事だったのでその頃何やってたかを思い出すところからスタートしました。

当時はやはりスペックもそうですけど、結構シンプルなんですよね。鳴らせる音数も決まってますしわかりやすかった。そしてハードの進化と共に映像がどんどんリッチになっていくと当然情報量が増えていくので、多くの音を鳴らす事でサウンド全体も厚みが出てきて、Vまででそのリッチな質感がある程度達成できたかなと思っていました。

ただ一方で情報過多にもなっていて、自分が今何をやった、その結果どうだった、というのがわかりにくい状況になり、今作ではそういった点を一度整理し、より記号性を重視する事で、わかりやすさを取り戻せないかと考えました。

攻撃にも弱中強と3段階あるので自分が今すごい事をやったとかやられた感覚を強化できるといいよね、という形で方向性が固まっていきました。それを実現するための工夫をいくつかご紹介させて頂ければと思います。


ADX2での音のバリエーション作り

矢野
どのようにADX2を使用したかと言いますと、武器の素振りの音を、素振りの方向によって「上から」「下から」「左右それぞれから」違う音になるようにしています。音の切り替えにはADX2のセレクタ機能を使いました。

2012年のCEDECで、「目を閉じていても見える インタラクティブサウンド演出」という講演を行ったこともあり、記号性を意識して作りました。

– 意識して聞いていれば聞き分けられる感じでしょうか?

高橋
そうですね、上下はだいぶ分かると思います。

素振りの音がわかりやすいよう、効果音の音量を調整しています

大島
後ほどもお話しますけども、この辺りの効果音は波形レベルというよりはCRIさんのツールの中でサウンドメイキングしていくことが多かったので助かっています。

中鶴
試行錯誤するときに波形編集まで戻ってしまうと、だいぶ手間も掛かってしまうのですが、とりあえず(波形データをADX2の編集ツールに)放り込んでみて色々試す事ができるというのはメリットですよね。

矢野
武器ヒット音を鳴らす時、ADX2はトラックを複数持てるので斬る音+部分的なアタック音だけを足したりしています。

CRI ADX2の編集ツールのタイムラインの様子。複数の波形を並べてひとつの効果音を作り込むことができる。(※ 編集中のデータはSOULCALIBUR Ⅵのものではありません)

大島
特に記号化というキーワードで、いわゆる昔のゲームのヒット音ってリアルな音ではなくて割とアニメ的な表現があると思うんですけど、それが心地よいっていうところがあるじゃないですか。そういうところを取り込んでいくときに、今までと同じことをやるだけでなくて次世代感を出すために…例えば斬る時の表現、打撃のヒット表現って世の中探すといっぱいあるんですけど、このタイトルでどれが適当なんだろうという試行錯誤をするのにADX2のツールがとても役立っていますね。

矢野
素振りのアタック感を調整するために、再生開始位置を決めるマーカーを移動させて、見た目と合わせてどのタイミングだと一番気持ち良いか試したり、音が終わるタイミングにもマーカーを入れて、どのくらいのキレが良いのか何度も確認できて、とても便利でした。ただ、楽しいので…開発が…進まないときもある…。

– 一同笑

矢野
だからある程度、試したら次へ行こう、って感じでやらないと。

大島
ツールとしての心地よさもあるんで。

矢野
武器ヒット、素振り、ガードはいろんな機能を使いましたし、ガードしているだけでも音の違いを楽しめるよう心がけました。

大島
動かしていてクセになるような味わいを出すために、それぞれの武器のガード音を素材別に用意していますね。

矢野
またランダマイズ機能は、同じキャラで同じ武器だと、音の内容が同じでフランジングを起こしやすいのですが、それを防げる良さがありますね。

中鶴
格闘ゲームとして同キャラ対戦は避けられないのでこういった機能はとても助かります。

– という感じで盛り上がりつつ、さらに細かい話になっていきました。続きは後編で!


インタビュー後編について

次回は音楽・環境音・ボイスなど、実は変化し続けている音へのこだわりについてさらに細かく掘り下げていきます!
お楽しみに!

SOULCALIBUR™ Ⅵ & ©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

kawaguchi

Twitter @CRI_kawaguchi Sound / Haptic / UX Designer @ CRI Middleware. / 音響周り全般と触覚、UXを担当。VRの立体音響も。 ゲーム制作現場の要望をミドルウェア開発チームに届けて、より素敵なコンテンツが生まれやすい未来を作るのが仕事です。

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